2019年5月29日に実施した「子どもの自分らしさを大切に育むために!」の報告です!

 2019年5月29日、「子どもの自分らしさを大切に育むために!」という講演会を行いました。講師には、認定NPO法人子どものみらい尼崎 理事長/姫路大学教育学部 特任講師の濱田格子さんをお迎えしました。

 当日は保育者養成校においてトランスジェンダーを含む多様な性への対応が進まない要因について、アンケート調査の結果からお話をしていただきました。

 保育者養成校では実習が必須とされていますのでまずそこからのお話でした。実習においては実習先から学生の性別を限定される場合が半数以上あり、特に保育所・園ではほとんどが女子限定となっています。理由として実習先の設備(トイレ、更衣室など)や特性(母子生活支援施設など)もありますが、実習施設や施設利用者(保護者)にジェンダーバイアスがあるとのことです。例えば、実習先での対応や評価には性別による違いがあったり(男子に甘いなど)、女児の世話を男子実習生がするのを嫌がる保護者もいるそうです。これは実習先に問題があることもありますが、まだ社会全体にジェンダーバイアスがあることの反映だと思われます。

 なお、養成校としては実習の受け入れをお願いしているため相手の意向に合わせざるを得ず、ジェンダーバイアスなどについて話し合うことができにくいとのことでした。

 次に保育者養成校におけるLGBTへの対応ですが、トランスジェンダーの学生がいる所といない所ではやはり対応が異なります。よって当事者にとって存在を知ってもろうことは生活のしやすさにつながると思われますが、個人個人でカミングアウトへの考え方や事情は異なるので、そこに難しさはあると思います。

 また、実習に際してはほとんどの養成校で髪形や髪色を指導するとのことです。トランスジェンダーの学生にとって自分のジェンダーアイデンティティと異なった格好をするのは大変な違和感を伴い、そのため実習を断念したり、精神的に不調をきたす学生もいるとのことです。実習が、自分のジェンダーアイデンティティと社会との軋轢を初めて感じる場面になることが多いとの指摘がありました。

 次に、幼児に性の多様性を教えることは幼児を混乱させたり、そもそも理解させることが難しいといった認識があるとのことです。幼児の性自認に関する研究が少ないことが原因の一つですが、実際に幼児期から性別違和を感じている人がいることを考えればもっと研究が進んでもよいと思います。

 これらを含めて最後に養成校に望まれることとして、研修などを通じて学内にLGBTへの理解を促進していくこと、実習施設や地域社会に啓発を行っていくこと、当事者の存在を知ることなどの提案がありました。そして何より幼児も「性の多様性」を知ること、それを通じて「多様な人々」と会うことの必要性をお話いただけたのは大変印象に残りました。

 そのために当会の活動が何らかの役に立てればと改めて思いました。